遠野物語
遠野物語
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写真家・民俗学者の内藤正敏による写真集『遠野物語』。1983年に春秋社から刊行された本書は、柳田國男の『遠野物語』に触発され、岩手県遠野地方の風景や民間信仰、土地に伝わる習俗を撮影した作品集。1971年から1975年にかけて撮影した写真を中心に、新作を加えて構成されている。
内藤は1971年の秋に初めて遠野を訪れ、ストロボの閃光によって、夜の闇のなかから人々や風景、信仰の対象を浮かび上がらせる撮影を試みた。山間の寺堂に並ぶ死者の肖像画や肖像写真、土地に祀られる神々、遠野に暮らす人々の姿を通して、日常の風景と、その背後にある民俗的な世界を重ね合わせている。
本書は「生者の章」「死者の章」「神々の章」の3部で構成。柳田國男の『遠野物語』に記された山人の伝承や、遠野を取り巻く山々の信仰を手がかりに、金掘り師やタタラ師など、かつて山を移動しながら暮らした金属技術者たちの歴史にも目を向けている。内藤が提唱する「金属民俗学」の視点と、写真による表現が結びついた作品となっている。
巻末には吉本隆明による「『遠野物語』別考」と、内藤自身による「遠野物語ノート」を収録。吉本は柳田の描いた「山人」を村落共同体や職業集団の関係から読み解き、内藤は遠野の伝承と金属文化について、撮影と現地調査をもとに考察している。
1970年代の遠野で撮影された写真と民俗学的な調査を通して、生と死、信仰、土地の歴史が交差する世界を捉えた一冊。『出羽三山』などと並び、東北の精神文化を追い続けた内藤正敏の仕事を代表する写真集。
[タイトル] 内藤正敏写真集 遠野物語
[出版元] 春秋社
[出版年月日] 1983年6月10日(初版)
[ページ数] 152頁
[大きさ] 約224*294*24mm / 1170g
[フォーマット] ハードカバー・布装・函入り
[言語] 日本語
[タイトルよみ] ナイトウマサトシ シャシンシュウ トオノモノガタリ
[著者・編者等] 内藤正敏/写真・文、吉本隆明/解説、長谷川明/写真構成、後藤一之/ブックデザイン
[印刷・製本] 光村原色版印刷所/印刷、小林製本所/製本
[ISBN] 4393953071
[状態] 中古【7】並上(帯:少シミ、少ヤケ、少破れ補修、函少スレ)
[付属品] 函(函蓋は欠)、帯
[掲載本] -
[関連展覧会] -
内藤正敏(ないとう まさとし)1938–2025
1938年、東京都生まれ。写真家、民俗学者。1961年、早稲田大学理工学部応用化学科卒業。倉敷レイヨンでの勤務を経て、フリーランスの写真家として活動を始める。
1960年代より、東北地方の民間信仰や日本各地の宗教文化を主題に撮影。「日本のミイラ」「婆バクハツ!」などの作品を発表し、即身仏、修験道、祭祀、死者への信仰などを継続的に取材した。
1971年から岩手県遠野地方を撮影し、柳田國男の『遠野物語』を手がかりに、山人の伝承や金属文化を探究。民俗学的な調査を進め、1978年に『聞き書き遠野物語』、1983年に写真集『遠野物語』を刊行した。
ストロボを積極的に用い、闇のなかから人物や風景を浮かび上がらせる独自の表現で知られる。写真によって可視的な世界を記録するとともに、民俗学の調査を通して土地に蓄積された信仰や歴史を読み解いてきた。
1983年、第2回土門拳賞を受賞。主な写真集に『婆 東北の民間信仰』(1979年)、『出羽三山』(1980年)、『遠野物語』(1983年)、『東京 都市の闇を幻視する』(1985年)などがある。
2025年7月9日逝去。
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